ディビジョン/ゼロ(8)

ディビジョン/ゼロ(第8話)

波野發作

小説

1,036文字

夜が来る。夜に食われる。欠けていく。見失う。

〈8〉

 

どうやらそのまま眠ってしまったらしい。

時間は23時を過ぎる頃だった。

点けっぱなしだったテレビには見たことのない芸人が映っていて、何か真面目な顔で話していた。

 

少し寝汗をかいたようで、体がべたついた。

すぐにシャワーをあびるか迷った。

立ち上がるのが面倒だったので保留にした。

 

テレビはつまらなかった。芸人が芸をしないのでは仕方がない。

でもテレビを消すのは嫌だった。

部屋が静かになりすぎるからだ。

 

スマホをチェックした。相変わらずスパムしか来ていなかった。

未亡人は早く遺産を渡したくて仕方がないらしい。

しかも体が疼くので抱いて欲しいらしい。そんな人をぼくが満足させられるだろうか。

 

AVサイトの案内いくつも来ていた。

こいうのはたいてい何も見れないのに、いきなりIPと請求画面が出るやつだ。

これでもIT関連会社にいたのだから、さすがにそんな請求に根拠がないことは知っていた。

 

あとはショッピングサイトのニュースぐらいだ。

何か面白いメルマガにでも入っていればよかった。

ひまつぶしぐらいにはなっただろうに。

 

やはりシャワーを浴びて寝てしまおうか。

でも中途半端に眠ってしまったので、眠気は来そうにない。

寝室は散らかっているのであまり入りたくはない。

 

そういえば一人になってからは、いつもリビングで寝ていた。

だいたい終電で帰ってきてシャワーを浴びてすぐに寝てしまう。

テレビも電気もつけっぱなしだ。ずっと自由だった。

 

メールをくるくる見ていたら、しばらく行ってない風俗店のメルマガが来ていた。

ここはぼったくりではない店だ。3回ほど行った。

今日は平日で客が少ないらしい。

 

時計を見たら、まだ電車はありそうだった。

調べてみたらまだ終電には間があった。

しばらく迷ったが、とりあえず電話をしてみることにした。

 

会ったことのある店長が出た。

いつもありがとうございます、と言うのでたぶんぼくの電話番号が登録してあるのだろう。

今日は混んでいるか聞いたら、何時に来るかというので、30分か1時間ぐらいだと言ったら、大丈夫だと言った。

 

指名はあるかと聞かれたので、フリーでいいと言った。

名前をを聞かれて答えると、お待ちしていますと言って切れた。

ぼくはスマホと財布だけもって出かけた。

2015年9月1日公開

作品集『ディビジョン/ゼロ』第8話 (全10話)

© 2015 波野發作

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