作家の宗田理が4月8日に、愛知県名古屋市の病院で肺炎のため亡くなった。95歳だった。

 東京都生まれ、愛知県西尾市出身。日本大学藝術学部映画学科卒。映画の脚本や雑誌の編集を経て、1979年に発表した「未知海域」で作家としてデビュー。同作は直木賞候補にもなった。

 子供や老人などの視点から社会の矛盾を鋭く指摘するといった作品を多く発表し、若い世代を中心に人気を博した。1985年には子どもたちが力を合わせて大人たちと戦う小説『ぼくらの七日間戦争』がベストセラーとなり、宮沢りえ主演で映画化されたことでも話題となった。〝ぼくら〟シリーズは約40年で50作ほどが書かれ、累計2000万部を超えるベストセラーとなった。

 今年3月にも〝ぼくら〟シリーズの新作『ぼくらのイタリア(怪)戦争』(角川つばさ文庫)が発表されたばかりで、90代になっても精力的に執筆活動を続けていた。

 90を過ぎて、亡くなる前まで作品を書き続けていたことには尊敬の念を抱かざるを得ない。〝ぼくら〟シリーズは、これからも読み継がれていく作品群だろう。ご冥福をお祈りしたい。