中央公論新社が主催する「新書大賞2024」が発表され、大賞に今井むつみ/秋田喜美『言語の本質』(中公新書)が輝いた。

 1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞。今年で第17回を数える。前回は千葉雅也『現代思想入門』(講談社現代新書)が大賞を受賞している。今回は、2022年12月~2023年11月に刊行された1200点以上の新書を対象に、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など新書に造詣の深い識者107人による投票によって大賞を決定した。

 今井むつみは、1989年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学。94年ノースウェスタン大学心理学部Ph.D.取得。慶應義塾大学教授。専門は認知科学、発達心理学、言語心理学。著書に『学びとは何か』『英語独習法』など。

 秋田喜美は、2009年神戸大学大学院博士課程修了。博士(学術)。名古屋大学大学院准教授。専門は認知・心理言語学。著書に『オノマトペの認知科学』『言語類型論』など。

 『言語の本質』は、認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。

 第二位は、東浩紀『訂正する力』(朝日新書)。保守とリベラルの対話、成熟した国のありかたや老いの肯定、さらにはビジネスにおける組織論、日本の思想や歴史理解にも役立つ、隠れた力を解き明かす。

 第三位は、村上靖彦『客観性の落とし穴』(ちくまプリマー新書)。数値化信仰の危険性とは?「客観性」とは一体なんなのか。そのメリット、デメリットは? 「客観性」を絶対視することの問題点を読み解いていく。

 なお、20位までのランキングと、有識者49名の講評など詳細は、2月9日に発売された『中央公論』に掲載されている。

 筆者は新書を読む習慣がなかったが、最近は専門的な知にアクセスする際には入門書から入るのが一番だと今さら気づいた。そういう時に数多くある新書から選び取るには、こういった識者の意見が参考になることは間違いない。