Juan.Bこと、髙井ホアンによる単著『鬼畜米英漫画全集』が2月にパブリブから出版される。

 副題は『戦時下の反アメリカ・イギリス的表象』でシリーズ『風刺画で知る世界』の第一巻。ホアンは同社から『戦前不敬発言大全』と『戦前反戦発言大全』を出版しており、どちらも重版されるなど話題になっている。

 第二次世界大戦下でアメリカ・イギリスに対する「鬼畜米英」という蔑称が生まれ、角が生えたルーズベルトやぶよぶよと太ったチャーチルなど、彼らを悪魔化したり、馬鹿にした漫画が沢山描かれていた。そこには、「アングロサクソン」に対して「白人崇拝」的な憧れを抱いていた矛盾した感情が見て取れるという。戦前に鬼畜米英漫画を460枚以上集めて、その漫画に書かれた吹き出しやコメントも載せ、当時の日本・米英関係などの背景を交えて解説。

 ほか、色んな切り口からの「鬼畜米英」にまつわるコラムも用意。今作もA5判並製で480ページという大著になる。反アメリカ・イギリスの漫画を徹底的に集めた書籍は過去にはなく、漫画史料としても貴重とのこと。

 2月15日頃までには書店に並ぶ予定という。世界でも漫画・アニメ大国として知られる日本だが、80年前には戦時下でこのように歪んだ表現があったということを知る上でも貴重な資料となるだろう。ぜひ手に取ってみてほしい。