「第45回野間文芸新人賞」の候補作品が9月29日に決定した。

 今回候補にあがったのは、朝比奈秋あさひなあき『あなたの燃える左手で』(河出書房新社)、安堂あんどうホセ「迷彩色の男」(河出書房新社「文藝」2023年秋季号)、石田夏穂いしだかほ『我が手の太陽』(講談社)、九段理江くだんりえ「しをかくうま」(文藝春秋「文學界」2023年6月号)、小池水音こいけみずね『息』(新潮社)、長島有里枝ながしまゆりえ『去年の今日』(講談社)の六作品。

 朝比奈秋は1981年、京都府生まれ。2021年に「塩の道」で第7回林芙美子文学賞を受賞。今年『植物少女』で第36回三島由紀夫賞を受賞している。安堂ホセは1994年、東京都生まれ。2022年、『ジャクソンひとり』で第59回文藝賞を受賞。同作は第168回芥川賞候補にもなっている。石田夏穂は1991年、埼玉県生まれ。2020年、「その周囲、五十八センチ」で第38回大阪女性文芸賞を受賞。2021年に『我が友、スミス』で第45回すばる文学賞佳作を受賞。同作は第166回芥川賞候補にもなった。

 九段理江は1990年、埼玉県生まれ。2021年、「悪い音楽」で第126回文學界新人賞を受賞。2023年『Schoolgirl』で第73回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。小池水音は1991年、東京都生まれ。2020年「わからないままで」で第52回新潮新人賞を受賞。長島有里枝は1973年、東京都生まれ。2001年、写真集『PASTIME PARADISE』で第26回木村伊兵衛写真賞を受賞。2010年、『背中の記憶』で第26回講談社エッセイ賞を受賞。

 選考委員は小川洋子、川上弘美、高橋源一郎、長嶋有、保坂和志で11月6日、受賞作が決定する。

 昨年は、町屋良平『ほんのこども』(講談社)が同賞を受賞している。今年は朝比奈や石田のような地方文学賞出身者や、実に14年ぶりに書かれた作品がノミネートした長島のように誰が受賞しても話題となりそうである。