『第170回芥川龍之介賞・直木三十五賞』候補作が14日に発表された。

 芥川賞は、純文学の中・短編作品の中のから最も優秀な作品に贈られる。芥川賞候補作品は、安堂ホセ『迷彩色の男』(文藝秋季号)、川野芽生『Blue』(すばる8月号)、九段理江『東京都同情塔』(新潮12月号)、小砂川チト『猿の戴冠式』(群像12月号)、三木三奈『アイスネルワイゼン』(文學界10月号)の五作がノミネート。川野が初ノミネート、ほかは二回目のノミネートになる。

 直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)の中から、最も優秀な作品に贈られる。直木賞候補作品は、加藤シゲアキ『なれのはて』(講談社)、河﨑秋子『ともぐい』(新潮社)、嶋津輝『襷がけの二人』(文藝春秋)、万城目学『八月の御所グラウンド』(文藝春秋)、宮内悠介『ラウリ・クースクを探して』(朝日新聞出版)、村木嵐『まいまいつぶろ』(幻冬舎)の6作品がノミネートした。嶋津と村木は初ノミネート、加藤と河崎が2回目、宮内は4回目、万城目が6回目の候補となる。

 受賞作は、来年1月17日に発表される予定。個人的に注目したいのは、芥川賞初候補となった川野だ。2018年に短歌連作「Lilith」で第29回歌壇賞を受賞し、歌人としてデビューしているが、今年8月には幻想的な長篇小説『奇病庭園』(文藝春秋)を上梓している。そして、直木賞では何と言っても6回目の候補となる万城目。馳星周は七度目の候補で受賞したが、万城目はどうなるか。