日本歴史時代作家協会が主催する『第12回日本歴史時代作家協会賞』が8月8日に発表され、新人賞、文庫書き下ろし新人賞、作品賞が決定した。

 歴史時代作品デビューから3年以内の作家で、2022年6月から2023年5月刊行までの四六判作品が対象の「新人賞」は、高瀬乃一『貸本屋おせん』(文藝春秋)と羽鳥好之『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』(早川書房)がそれぞれ受賞。

 歴史時代作品デビューから3年以内の作家で、2022年6月から2023年5月刊行までの文庫書き下ろし作品が対象となる「文庫書き下ろし新人賞」は、伊藤尋也『土下座奉行』(小学館文庫)と横山起也『編み物ざむらい』(角川文庫)。

 2022年6月から2023年5月刊行までの刊行作品が対象となる「作品賞」は、上田早夕里『上海灯蛾』(双葉社)と村木嵐『まいまいつぶろ』(幻冬舎)が受賞となった。

 また、「文庫書き下ろしシリーズ賞」は、岡本さとる「仕立屋お竜」シリーズ(文春文庫)、「居酒屋お夏 春夏秋冬」シリーズ(幻冬舎時代小説文庫)、「八丁堀強妻物語」シリーズ(小学館文庫)、伊多波碧「名残の飯」シリーズ(光文社文庫)がそれぞれ受賞。

 なお、今回は「功労賞」は該当者なしとなった。選考委員長に三田誠広、選考委員を菊池仁、雨宮由希夫、理流、加藤淳が務め、8月5日に選考会が実施された。授賞式は10月20日に行われる予定。

 直木賞では毎回のように歴史小説がノミネートしているが、昨今は特に米澤穂信の直木賞受賞作『黒牢城』(KADOKAWA)や第169回直木賞受賞作の垣根涼介『極楽征夷大将軍』などジャンルを横断するような作品が評価されて話題になっている。これから新たな歴史小説ブームが到来するかもしれない。