河出書房新社が主催する「第60回文藝賞」で、文藝賞受賞作が小泉綾子こいずみあやこ『無敵の犬の夜』に決定した。また優秀作に、佐佐木陸ささきりく『解答者は走ってください』、図野象ずのしょう『おわりのそこみえ』がそれぞれ選ばれた。

 選考委員の角田光代、島本理生、穂村弘、町田康による選考会が8月23日に、都内・明治記念館で行われた。

 小泉は1985年、東京都生まれ、在住。2022年「あの子なら死んだよ」が第8回林芙美子文学賞佳作に選ばれている。

 佐佐木は1990年、埼玉県出身、都内在住。図野は1988年、大阪府生まれ、在住。

 受賞作と受賞の言葉、また、選評・選考経過は、10月6日発売の「文藝」冬季号に掲載される。

 贈呈式は、11月中旬に明治記念館で開催される。受賞者には、正賞として記念品、副賞として受賞作には50万円、優秀作には20万円がそれぞれ贈られる。

 今年度は「文藝」創刊90周年を記念し、限定で創設された「文藝賞〈短篇部門〉」受賞作・西野冬器「子宮の夢」、優秀作・才谷景「海を吸う」の掲載を予定しており、新たに総勢5人が文藝でデビューする。

 昨年、文藝賞受賞作の安堂ホセ『ジャクソンひとり』が芥川賞にノミネートし話題になった。今年は一気に五人の新人がデビューするが、この中から芥川賞作家が出るかもしれない。