「第7回仙台短編文学賞」受賞者が3月9日に発表され、大賞を千葉雅代『川町』が受賞した。そのほか、仙台市長賞に湯谷良平『ポリエステル伝導』、河北新報社賞に郭基煥『声の場所』、 プレスアート賞に水戸洋子『S市の秘密』がそれぞれ選ばれた。また、学生を対象にした東北学院大学賞に浅井楓『擬態』が選ばれた。

 仙台短編文学賞は、仙台・宮城・東北の地から発信する文学賞で2017年に創設された。主催は「仙台短編文学賞」実行委員会(荒蝦夷、河北新報社、プレスアート)。仙台・宮城・東北となんらかの関連がある原稿用紙25~35枚程度の小説を公募する。毎回選考委員が変わり、今回は伊坂幸太郎が務めた。

 今回は全応募作品382編の中から、最終候補として受賞作ほか、鮎川知央『The Apple Of My Eye』、小田島比呂『マイ・カー』、工藤等『がんがん鳴らし』、Christian Damerow『かわいすぎる』、谷原悠『オーバーザロード』、野里征彦『錦衣』、春名美咲『もーちゃんは、どこ?』、平橋昴『曙光』があがっていた。

 伊坂幸太郎は大賞の「川町」について、「頭の中をひたすら出力しているような作品でありながらも、それほど独りよがりになっておらず、「読む喜び」もあり、絶妙なバランスで成り立っている。「見えるもの」「想像したもの」「思い出したこと」がまざりあう、この作品自体が勢いよく流れていく川と言ってもいい。読み進めていくと、その「街への愛憎」の濁流の中にストーリーめいた筋がうっすらと見えてくるところもとても心地良くて、魅力的だった。」と評している。

 千葉は1993年、宮城県仙台市生まれ。東北生活文化大学家政学部卒。事務職。

 なお、大賞と河北新報社賞は、3月17日の河北新報第2朝刊に、仙台市長賞と東北学院大学賞は『被災学』(3月30日発売)に、大賞とプレスアート賞は『Kappo 仙台闊歩 vol.129』(4月5日発売号)に掲載される。

 大賞受賞者の千葉には副賞として30万円が贈られる。そのほかの受賞者にはそれぞれ賞金5万円が贈られる。