日本文学振興会は『第169回芥川龍之介・直木三十五賞』候補作品を6月16日に発表した。

 芥川賞候補は、石田夏穂いしだかほ「我が手の太陽」(群像5月号)、市川沙央いちかわさおう「ハンチバック」(文學界5月号)、児玉雨子こだまあめこ「##NAME##」(文藝夏季号)、千葉雅也「エレクトリック」(新潮2月号)、乗代雄介「それは誠」(文學界6月号)。

 初候補は市川と児玉。石田は「我が友、スミス」で候補になって二度目、千葉は三度目、乗代は四度目の候補入りとなる。もし乗代が受賞すれば、野間文芸新人賞、三島賞を受賞しているので、いわゆる純文学の新人三賞を受賞し〝三冠〟作家となる。これまでに笙野頼子、鹿島田真希、本谷有希子、村田沙耶香、今村夏子の五人だけがこの三冠を達成しており、その行方にも注目が集まる。

 直木賞候補は、冲方丁うぶかたとう『骨灰』(KADOKAWA)、垣根涼介かきねりょうすけ『極楽征夷大将軍』(文藝春秋)、高野和明たかのかずあき『踏切の幽霊』(文藝春秋)、月村了衛つきむらりょうえ『香港警察東京分室』(小学館)、永井紗耶子ながいさやこ『木挽町のあだ討ち』(新潮社)。

 月村が初、高野と永井は二度目、冲方と垣根は三度目の候補となる。冲方、垣根の三度目の正直となるか、永井の山本周五郎賞とのW受賞となるか注目だ。

 7月19日に都内で選考委員会が開催される。なお、贈呈式は8月25日に都内で行われ、受賞者には正賞として時計、副賞として賞金100万円が贈られる。