朝日新聞の報道によれば、文化審議会のワーキングチームは著作物の電子化や翻訳などの利用例において著作者の許諾を取らないで済むような改正案をまとめ、現在の通常国会に提出する方針だ。早ければ年内にも法改正は認められるかもしれない。文化庁主導でおこなわれるこの法改正の狙いは、硬直化した日本の著作権法を改正することで、海外サービスからの遅れを取り戻すことだ。

たとえばGoogleは検索エンジンを作成するために、自社のデータベースにすべてのWebページのコピーを保存している。日本においてこれは著作権法違反にあたるが、アメリカの著作権法ではフェアユース規定、つまり「公益に資する」と判断され、違法とならなかった経緯がある。日本が硬直した法体系でグズグズしているうちにGoogleとの格差はどんどん拡大し、検索エンジンのシェアはGoogleが95%以上を占めるに至ってしまった。

こうした反省から、このフェアユースに当たるものを日本にも導入することを狙ったのが、今回の法改正への動きである。具体的にどのような結果になるかはまだわからないが、たとえば次のようなものが考えられる。

  1. 東京オリンピックでチラシ、本などの写真を撮影し、それを送ると翻訳してくれる(現在のGoogle翻訳アプリに似たような機能がある)
  2. 書籍の中身をすべてスキャンし、機械学習にかけた上で、文章の「難易度」「おもしろさ」などを判定する
  3. 複数の書籍の内容をミックスし、自動的に新しい書籍を作ってくれる

こうした新たなイノベーションが起きるのを促進する目的での法改正はどのような結末になるだろうか。今後の展開を楽しみにしたい。