嬉しくて泣くのは君の過去だから

高橋文樹

338文字

ラジオを聴いていると、たまに流れてくる曲がある

 

嬉しくて泣くのは

悲しくて笑うのは

もう嫌なんだ

 

そうなのか

僕は嬉しくて泣いたことがない

嬉しいときは笑うものだ

言われるまでは気づかなかった

 

もし嬉しくて泣くのなら

それはたぶん 君の過去のせい

 

君が嬉しくて泣くのは

その喜びを知らなかった自分が

かわいそうだから

 

その喜びを知るために

あれほど苦労しなければならなかった

自分がかわいそうだから

 

君は泣きながら

自分の過去を抱きしめているんだ

 

幼い子供が何も知らないまま

使命を与えられ

世界を救う英雄となって

その代償に彼の子供時代をすべて失い

ボロボロになって

 

そんな子供を抱きしめるように

君は喜びに泣くんだ

 

2016年11月29日公開

© 2016 高橋文樹

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

この作者の人気作

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


4.0 (1件の評価)

破滅チャートとは

"嬉しくて泣くのは君の過去だから"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る