日常。(46)

日常。(第39話)

mina

小説

1,635文字

優しくて誠実な男だと思わせたら、きっと女の子たちも安心して、僕に心を許してくれる
僕はいつもそんなことを考えながら女の子と接している。女の子をリラックスさせて安心させて…快楽を僕にとって最高の快楽を得るために…。

「妙に優しい客っていない?」
「妙に優しいお客様?」
「そう、何かもうサービスなんてしなくていいよ、むしろ僕が君にサービスしてあげるよとかって言ってくる客!」
「へーそんなひといるんですか?」
「いるのよ、私この前ついたんだけどさー」
「はい」
「ずっーとマッサージしてくれてさー」
「 … 」
同僚のみつきさんは私にいつも自分がついたお客様の話を永遠とする。今回のお客様の話は何となく興味深くて、いつもは流して話を聞くんだけど、今回は真面目に聞いてみた。
「もう私本当にリラックスしちゃって、客に身をまかせっきりだったわよ」
「何かその人ってヌキにきてる訳じゃないんですかね?」
「そう!ヌキに来てる訳じゃないって言うのよ!女の人の温もりを感じたいとか言ってたわー」
「ふーん…そんな人いるんですかねぇ…」
「いるのよ、いるの!また来てくれないかしらぁ」
「 … 」
私はお店に遊びに来る男の人たちはみんな、最終的にはヌキに来てるという考え方だったから…みつきさんについたっていう、そのお客様に逢いたくなった。
「客がみんなあんな人だったら楽だわ~」
「そうもいかないと思いますよ」
「そうかしら?大体みんな私たち女をぞんざいに扱いすぎなのよ!もっとこう丁寧に大切に扱って欲しいわ」
「みつきさん可愛い」
「か、可愛いって、アンタの方が年下じゃないのよ!」
「痛いよ~みつきさん」
私は下心があるから男の人って優しいんだって思ってたから、本当に今日のみつきさんの話は興味深い。
どんなに優しかったり、私のことを好きだって言ってきてくれる人でも、最終的にはあの白くてドロッとした液体を私のカラダのどこかにぶちまけてくる。私はみつきさんにそんなことを言ってマッサージだけしてくる人にだってきっとあの何とも言えない色の濁った性欲の固まりをカラダのどこかに隠し持っているに違いないって…どうしても穿った見方をしてしまう。そんなに私に優しくしていてもきっとそれって…って。こんな私の可愛くないところが自分でも嫌だったりするんだけどやっぱり男の人を信じたい、ものすごく陳腐な言い方をすると『愛を信じたい』
みつきさんにそんなことを言ったらきっと、「アンタバカじゃないの?客に愛なんてないしあげちゃダメ!」とかって言われそう。でも私は短い時間だけど、そこに愛を感じていたいなぁ。お仕事だって言われちゃえばそれまでだけど。

「予約が7時から入りましたよ」
「はーい」
私たちの仕事の考え方なんて人それぞれだし、私がお客様に対してそういう考えを持っているだけで、それをお客様やみつきさんとかに押し付けるつもりもないんだけど…やっぱり気になる、みつきさんについた優しいお客様

「こんにちは」
待ち合わせ場所で待っていたのはふっくらとした体型で丸顔の優しそうなおじさんだった。
「こんにちは、はじめまして」
「はじめましてよろしくね」
見た目がもう優しそうだから何気に安心してしまう人だなぁなんてぼんやり思っていた。その人は2人でラブホテルに入るなり、こう言った。
「君は僕にサービスなんてしなくていいからね」
「えっ?」
「僕はただヌキに来てるという訳じゃないんだ」
「 … 」
「僕は女性の温もりが大好きなんだよ」
「 … 」
「まずはうつぶせになってごらん」
「あ…はい」
「僕がマッサージをしてあげるよ」
「 … 」
みつきさんが話していたお客様だって、すぐにわかった。
「 … 」
そして私はこのお客様の目が怖かった。ただカラダを触られているだけなのに、その手の温もりから伝わってくる何かが私の子宮を刺激し、私は濡れていた。

                end

2015年4月27日公開

作品集『日常。』第39話 (全70話)

© 2015 mina

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