日常。(23)

日常。(第23話)

mina

小説

1,161文字

「指輪、してないんだね」
「あ、だってやっぱり…あの人に悪いから」
「そうか、その気持ちは大切にして欲しい」
「どうして?」
「…僕にも妻はいるからね、僕の妻がもし、こういう仕事をやっていたら…」
「やっていたら?」
「僕は悲しいし…でも僕の妻が今君が言ったような事を思ってこういう仕事をしているんだったら…」
「 … 」
「僕はちょっと救われるかなって思って」

何が救われるだよ、馬鹿じゃないの?
おじさん、風俗に来て何言ってんの?
あなたはセックスのようなモノを他の女と愉しめばそれでいいのよ
あんたの奥さんとか、全然関係ないから、悪いけど
高いお金払ってんだから、余計な事考えずにさっさとイッちゃいなさいよ

「大丈夫、あなたの奥さんはこういう仕事しないわ」
「そうかな」
「あなたの奥さんなんでしょ?あなたの事を信じてると思うし、裏切らないわよ」
「僕は何回も君と過ごしている」
「 … 」
「僕がこうして妻を裏切っているんだから、きっと…」

マジ、ウザい
このお客さん、私の事よく指名してくれるけど、本当ウザい
そりゃぁ私は新妻店で働いている奥様設定だけどさ、いい加減この口塞いでやろうかしら?プレイに集中出来ない

「そんなに奥さんの事が好きなら、何であなたはココに、ラブホテルに私と2人きりでいるの?」
私は強い口調で突き放したように言ってやった
おじさんはキョトンとした顔を見せた
「えっ…」
っていうかもういいや
また指名してもらおうとか、インターネットの掲示板に書かれない様にとか、お店にクレームが来ないようにとか、あの子には負けたくないとか、生活のために働かなくちゃとか…

全部どうでもいい

「あんた金払って遊びに来てるんでしょ?」
「 … 」
「だったらさ、ちょっと大人しくしてもらえないかな?」
「あ…その、僕は…」
「あんたさー本当にウザい」
その瞬間、今まで弱々しかったおじさんが豹変した
「そんな事は解ってる」
私の首を絞めながらそう言った
「ちょっ…」
凄いチカラだった
おじさんは私を殺す勢いだ
「 … 」
「ウザがられてるなんて、解ってるよ」
おじさんは私の首から手を放した
「君まで僕をそうやって罵倒するのか!」
「 … 」
怖かった、自然と涙が出てきた
「…首に後が付いてる」
そう言っておじさんは私の首を触って、笑った
「今日は君を…」
髪の毛をグシャグシャにされて、激しいキス、痛い愛撫…
「んっ…!」
体中に跡が付くんじゃないかって思うくらい激しく攻められていた
「僕はそんなに…」
おじさんも攻めながら泣いていた
「 … 」

こうやって激しく、攻められるのって…
すごくカンジるわ

「始めからそんな風に攻めてくれれば良かったのに」
「そうか…」
おじさんが私の下半身に手を伸ばす
「濡れてる」
「うん」
私はおじさんを抱きしめた
「もっと愉しく、イヤラシイコトをしましょう…ね?」
「 … 」
おじさんは私をまた、激しく攻め始めた

              end    

2014年10月20日公開

作品集『日常。』第23話 (全70話)

© 2014 mina

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