日常。(22)

日常。(第22話)

mina

小説

1,384文字

本当なんだ、本当に君が好きなんだ
僕には君しかいないんだ
例え…君が僕の事を受け入れてくれなかったとしても
僕の目の前からいなくなったとしても
…必ず僕は、君を見つけるから

「店長~、あのお客さん相当しつこい」
「愛されてていいんじゃない?」
「いやそうじゃなくて、そろそろ限界…」
「っていうか、お仕事でしょー?」
「お仕事なのは解ってるんだけどさ」
確かに恋愛を仕事にしている職業なのだから、相手、お客様を自分に夢中にさせるという事は風俗嬢として『仕事が出来る』と思われてお店での株も上がるんだろうけど…
「それも、どうなの?」
って最近思うようになってきた
そんな風に思うようになったのはノザキさんのせいだ
ノザキさんという人は私が出勤してる日に必ず私を1時間指名して、私とその1時間を毎回過ごして帰って行く人
50代ぐらいの小奇麗なおじさん、独身で1人暮らし
会社ではけっこうな地位にいる人で、人事なんかも任されている人
しっかりしている、道徳もある、孤独な人
「君に逢う事が僕の日課になってきているよ」
「 … 」
「…そういう感情を僕が持ったら迷惑かな?」
「そんな事ないですよ、嬉しいです」
「本当に嬉しい?」
「はい」
「そうか…良かった」
ノザキさんは私に日常を望んだ
「僕は君とこうして過ごせる時間が1番安らぐよ」
風俗なのに日常を求められて、私はあなたの奥さんでもないのに、愛のようなモノを要求されて…

私はただの風俗嬢なのに

ノザキさんの存在が重くてしょうがない
毎日来てくれて嬉しいけど、私とセックスしたがるお客様の方が私にとってはラクだわ
「まぁまぁ、そう深く考えなくていいから」
「でも、精神的にもう無理です」
「いいお客様だよ、ノザキさんは。毎日のように予約いれて、逢いにきてくれて…」
「 … 」
「気持ちも解らなくはないけど、大切なお客様でしょ?あなたの生活に役に立ってるんだから」
「店長、私…」
「ほら、今日もノザキさんが待ってるから、早く準備して」
「はい」
今日も私はノザキさんと逢って、1時間という時間を過ごす
ノザキさんは殆ど私に触ってこない
私がノザキさんを一方的に攻めていく
キスから始まり、首すじを舐めて、耳を触り、胸を触って、乳首を弄る
「あ…」
足の付け根を手で触って、舌で舐める
足を触って、口で咥える
ゆっくりと、舌と口を動かす
唾液がつたう
「気持ちいいよ」
「 … 」
私は何もカンジない
でも唾液はつたい、ノザキさんは声を出す
「どうしたの?」
私は急に悲しくなった
涙が頬をつたってしまった
「何で、泣いてるの?」
「何でもないです」
そう言ってうつむいた私をノザキさんは戸惑いながら抱きしめた
「大丈夫?」
予想外の行動に私は驚いた
「何かあったの?」
初めて、ノザキさんが私を受け入れたような気がした
「…初めて」
「え?」
「初めて触った」
「あ、あぁ、だって君が泣いてるから」
「どうして、毎日のように私に逢いに来るの?」
「…日課だって、言ったでしょ」
「あ、そっか」
「泣きやんだね」
そう言った後、ノザキさんは私にキスをした
「 … 」
私は濡れていた、すごく
「君はやっぱり…いい子だ」
そう言ってノザキさんはまた私を抱きしめた

                end      

2014年10月14日公開

作品集『日常。』第22話 (全70話)

© 2014 mina

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