1日に一つは何かを書かなければならない男の日常

渡海 小波津

小説

711文字

私の日常。書きたいことも書けず。何がしたいのか、それを探している間は、と言い訳をしながら繰り返す日々。あ、あなたもですか?

一日に一つ、何かしなければ私はいつまで経ってもこのままではないか!

そう思って、目覚まし時計を押す。クイズ番組の回答者並に。飛び起きるとすぐシャワーを浴びるために下着とタオルを取る。歯を磨いて、服を脱ぎ捨てる。蛇口を捻り水がまだ温まりきらないうちから浴びる。ものの10分程度で終え、タオルで拭い、髪をなるべく早く整える。スーツに着替え、一通り仕度が済んだことを確認しながら鞄を取る。ドアを施錠し階段を駆け下りる。今日も暑くなりそうな空のようだ。

仕事を終え、職場の駐車場で煙草に火を点し、ゆっくりと吸いこみ、ゆっくりと吐く。昨日おろしたスーツに白煙が染込む匂いがした。月はあと四、五日で満ちそうで、そんな月を西に見ながらキーを回し、エンジンをかける。家に向かう途中、帰ってからの予定を大まかに立て、晩御飯を近くのスーパーで買おうと道を曲がると、今日は棚出しで閉店時間がいつもより早いことを思い出し、もうやっていないかと気付いたので、そのまま店を通り過ぎ、コンビニに向かう。コンビニはいつも明るく煌々と夜を照らしていて、ぼくにとっては温かいご飯が食べられる唯一の場所の一つでもある。それを持ち帰り、暗い部屋へたどり着くと、袋から出して並べる。惣菜の煮物、サラダ、親子丼の温かいやつ。部屋の灯りを点けて食事を始めると、本を読まなければと思い出したり、今書いているものをどうしていこうかなどと考え出したり、何か気晴らしにでも書こうかと浮かんだり、そうこうしながら食べ続けている。食べ終わるとペットボトルのジュースに並んで置かれた百円パックのお茶を啜る。

気付くといつの間にか頭上で目覚ましが鳴っていた。

 

fin.

2012年6月2日公開

© 2012 渡海 小波津

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