百年後に会おう

フィフティ・イージー・ピーセス(第42話)

Fujiki

小説

2,074文字

作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』収録作。

人生で一度だけ小説を書いたことがある。十八年前の二〇〇〇年、大学二年の夏休みをめいっぱい使って書いた。僕は文学青年だったわけではなく、当時は新書や実用書ばかり読んでいた。小説を書くのは後にも先にもこの一度きりになると思う。

執筆のきっかけは、高校一年のときから五年越しで付き合っていたガールフレンドだった。名前は宮里遥夏みやざとはるか。自他共に認める活字中毒者だった。常に文庫本を持ち歩き、空いた時間にはページに目を落としていた。子どものころ、重度のぜんそくであまり家の外に出ず読書ばかりしていたことからついた習慣だという。

「夏休み、暇なら二人で何か書かない?」

一緒に期末試験の勉強をしていたある日、遥夏は唐突にそう提案した。彼女が創作にも興味があるとは知らなかった僕は少々面食らったものの、反対する理由はなかった。時間は持て余していたけれどアルバイトを探す気はなかったし、毎回デートに金を費やさなくても遥夏と会えるようになるのは歓迎だった。

2018年5月1日公開

作品集『フィフティ・イージー・ピーセス』第42話 (全50話)

フィフティ・イージー・ピーセス

フィフティ・イージー・ピーセスの全文は電子書籍でご覧頂けます。 続きはAmazonでご利用ください。

Amazonへ行く
© 2018 Fujiki

読み終えたらレビューしてください

この作品のタグ

著者

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

"百年後に会おう"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る