****年のフルーツボール(5)

****年のフルーツボール(第5話)

ほろほろ落花生

小説

4,615文字

裏切りの化身油田に捉われたちくわら一向。信頼とは? 愛とは? 四ツ野が受けた苦しみを知ったちくわは怒りに震え、Tarouは意外といい奴で……しかも黒幕はオナ子だった!? 気持ち悪い擬音を散りばめて、物語は佳境を迎える。

オナ子宅にて

 

<ほりゃあ>

山形県鶴岡市の閑静な住宅街の一角にて雄たけびがとどろいた。

「しかしオトウさん。最近のオナ子はどうしたんでしょう」

「まあ、あの年齢だからね。難しいな。ほんとに。なにを考えてるんだか」

<ほりゃあ>

「けれどおかしいですよ。部屋には入ろうともせず二日も家を空けっぱなしにして。リビングなんて、オナ子に占拠されてますし」

「あのあれだね。最近はやりのプチ家出? まあ、あの子はあそこで毎晩、何やってたんだか。パソコンなんて与えるべきじゃなかったな」

「私はそれなりに理由は分かってるんですけれど。オトウさん、あなた眠ったふりして、夜中の二時過ぎになると毎晩オナ子の部屋行ってたでしょう」

「ぼくわかんない」

「この件については、きちんと機会を改めてお話していただきますからね。なんか、ヘンな声、聞こえません?」

<ほりゃあ>

「また近所の若い連中が暴れてるだけだろ。気にしないで寝るか」

「そうですね」

<ほりゃあ>

オナ子宅の玄関、かっちり閉ざされたスチール製の引き戸をぶち破り闖入してきた五人の正体不明の集団。そこにはなぜか娘であるオナ子まで含まれている。

「ちょちょちょっと、いったい。なんなんですか」

「カアさん、警察だ」

「いやいやお父様、ここはひとつこらえて。こらえて。ここで少しコアの実験が行われることになったので。まあまあお父様、これは誉れ高いことですよ」

腹筋を怪しく蠢動させながら半裸体のtarouが断定的に説明する。

「実験?」

「融和と炸裂ですよ。まだ分からないんですか? あんまりなめてると突入させますよ。はいあなたはこれであなたはこれね」

オナ子の父親はゴングをもたされ、母親はタイマー係りとなった。

 

 

2007年7月16日公開

作品集『****年のフルーツボール』第5話 (全6話)

© 2007 ほろほろ落花生

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