新潮社がガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』文庫版を6月26日に、発売する。

 『百年の孤独』は、1967年にアルゼンチンのスダメリカナ社から刊行され、現在まで46言語に翻訳されて5000万部を売り上げている世界的なベストセラー。著者であるマルケスの生地をモデルにした不思議な村「マコンド」を舞台にした数世代にわたる一族の物語。46言語に翻訳され、5000万部を売り上げている世界的なベストセラー。新潮文庫の夏のフェア「新潮文庫の100冊 2024」の目玉新刊の一冊として刊行する。

 G・ガルシア=マルケスは、1927年コロンビアの小さな町アラカタカ生まれ。ボゴタ大学法学部中退。「エル・エスペクタドル」紙の記者となってヨーロッパにわたり、ジュネーブ、ローマ、パリ各地を転々とする。55年に処女作『落葉』を発表。67年に『百年の孤独』を発表後も、『族長の秋』『予告された殺人の記録』『コレラの時代の愛』『迷宮の将軍』など次々と歴史的傑作を刊行。82年にはノーベル文学賞を受賞した。

 鼓直による翻訳は変わらず、文庫版としては分厚い672ページの作品となる模様。3月にはガルシア=マルケスが生前最後に取り組んだ遺作『出会いはいつも八月』が世界中で刊行され、日本でも旦敬介による翻訳で出版されたばかり。

 筆者もガルシア=マルケスの作品には衝撃を受けた一人である。複雑な政治状況の混乱と激動の時代に、文明と隔離された小さな村の勃興から消失までを強烈な個性を放つ一族を中心にして、百年という長い年月を一つの物語に昇華した今作の文庫化は、まさに待望の一言をして足りないくらいだろう。

 なお、破滅派主宰の高橋文樹『アウレリャーノがやってくる』の「アウレリャーノ」はこの『百年の孤独』の登場人物の名前からきている。文庫版の発売前に『アウレリャーノがやってくる』を読んでみるのもいいのではないか。