米出版社アルフレッド・クノップフは来年、コロンビアのノーベル文学賞受賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケスが2014年に亡くなる前に書かれた未発表作品『Until August』を出版することを発表した。

  G・ガルシア=マルケスは、1928年生まれのコロンビアの作家・小説家。『百年の孤独』など架空の都市マコンドを舞台にした作品を中心に、ラテンアメリカ文学を代表する作家。中上健次や池澤夏樹など日本の作家に限らず、世界中の現代文学作家に多大な影響を与えている。1982年にノーベル文学賞受賞。破滅派主宰の高橋文樹の新潮新人賞受賞作「アウレリャーノがやってくる」の、〝アウレリャーノ〟というのは『百年の孤独』の登場人物の名前から来ている。2021年には、破滅派による単行本第一号として刊行されているので、本著を読んで確認されたい。

 クノップフの副社長兼発行者であるリーガン・アーサー氏は、カルメン・バルセルス文学エージェンシーから北米の出版権を取得したと報告。

 本はクノップフからハードカバーと電子書籍で出版され、音声版はペンギン・ランダムハウスから、2024年に同時世界展開の一環としてリリースされる。その1年後にはペーパーバック版も出版される予定。

 ガルシア=マルケスの息子、ロドリゴとゴンサロ・ガルシア・バルチャは「Until Augustは、父が最後に創造を続けるために奇跡的に努力した結果です。彼の死からほぼ10年後に再び読むと、このテキストには多くの楽しい側面があり、私たちがガボ(ガルシア=マルケス)の作品の最も優れたもの、すなわち彼の創造力、詩的な言葉遣い、魅力的なストーリーテリング、人間の理解、特に愛における私たちの経験と不幸に対する彼の愛情に喜びを感じることを妨げるものは何もありません。おそらく彼の作品の主要なテーマが描かれています」と述べている。

 ノーベル賞作家による新作が、死後このようなかたちで読めることになるというのは嬉しい知らせだ。日本では2006年~2009年にかけて、新潮社から『ガルシア=マルケス全小説』(全10巻)が出版されている。新作については、まだ日本での詳細は不明だが、近いうちに読めることを期待したい。