日本数学会が主催する「2024年度日本数学会出版賞」に、細木周治とエンツェンスベルガー著、ベルナー絵、丘沢静也訳『数の悪魔――算数・数学が楽しくなる12夜』(晶文社、1998年)が選ばれた。

 同賞は、2005年に創設された。出版活動などの著作活動により、数学の研究・教育・普及に顕著な業績をあげた活動を顕彰する。第一回では小川洋子も受賞している。

 細木は長年にわたって裳華房の数学書の企画・編集に携わり、「数学選書」、「数学シリーズ」を筆頭に多くのロングセラー教科書を手掛けるとともに、工学系の数学教科書の刊行にも尽力。「氏が世に送り出した数学書の数々は、出版から時間の経った現在でもその多くが名著として読み継がれ、大学の専門課程や教養課程での数学教育を支え続けている。こうした細木氏の功績は数学研究の進展と、数学教育の基盤の確立に大きく寄与するものであり、日本数学会出版賞にふさわしい。」として今回の受賞となった。

 『数の悪魔――算数・数学が楽しくなる12夜』は、1998年に出版されて以来、累計53万部を誇るロングセラー。少年ロバートの夢のなかに、夜な夜なゆかいな老人「数の悪魔」が現れて数学のレッスンを繰り広げる12夜を通して数学を学ぶ。

 「年少者への配慮を十分に行いつつも本格的な数学の内容を扱っていることが特徴の一つである。例えば、0と1から始まる数の構成、有理数と無理数、数列の極限、数学における証明とは何か、多面体のオイラーの法則など、数学の入門段階での要点の数々を提示し、それらについて読者が楽しく理解を深められるように構成されている。本書の数学の普及への貢献は顕著であり、日本数学会出版賞にふさわしい。」と評価された。