新潮文芸振興会主催の「第37回三島由紀夫賞」「第37回山本周五郎賞」の候補作が決定した。

 三島賞は、小説、評論、詩歌、戯曲を対象に新鋭の作品一篇に授賞される。昨年は朝比奈秋『植物少女』(朝日新聞出版)が受賞している。今回の候補作品は、久栖博季「ウミガメを砕く」(「新潮」2023年6月号掲載)、小砂川チト『猿の戴冠式』(講談社)、鈴木涼美『YUKARI』(徳間書店)、大田ステファニー歓人『みどりいせき』(集英社)、間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)の五作。

 山本賞は、主に小説を対象とし、すぐれて物語性を有する新しい文芸作品に授賞される。昨年は永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』(新潮社)が受賞。候補作品には、小田雅久仁『禍』(新潮社)、青崎有吾『地雷グリコ』(KADOKAWA)、寺地はるな『こまどりたちが歌うなら』(集英社)、葉真中顕『鼓動』(光文社)の四作が選ばれた。

 三島賞の選考委員は川上未映子、高橋源一郎、多和田葉子、中村文則、松家仁之。山本賞の選考委員は伊坂幸太郎、江國香織、小川哲、今野敏、三浦しをん。選考会は5月16日に行われ、選考結果は同日発表予定。受賞者には、記念品及び副賞として百万円が贈られる。