都内文京区立森鴎外記念館(※鴎外の鴎は旧字体)で4月7日まで、鴎外の著書などの装丁も手掛けた洋画家・長原孝太郎の作品を展示する「近所のアトリエ-動坂の画家・長原孝太郎と鴎外」が開催中。

 森鴎外が文京区に暮らした明治20年代から大正期、区内には文学者だけでなく、多くの美術家も暮らしていた。鴎外の居宅・観潮楼(現・森鴎外記念館)のほど近くにアトリエを構えた長原孝太郎(号・止水)もその一人。

 長原は小山正太郎や原田直次郎、黒田清輝に学んだ後、東京美術学校(現・東京藝術大学美術学部)で長く教鞭を執った洋画家。長原は鴎外の主宰雑誌「めさまし草」の裏表紙絵に始まり、鴎外の著書や主宰雑誌に優れた装丁を施した。

 本展では、長原と鴎外の交流を、館蔵資料から紹介。「めさまし草」裏表紙絵34点も一挙展示する。長原の高いデザイン性や装丁の美しさ、カリカチュア(戯画)の楽しさなど、文学はもちろん美術愛好家にも楽しめるコレクション展。

 また、3月2日には大妻女子大学名誉教授で森鴎外記念会会長である須田喜代次による講演会「<裏表紙>で鴎外を支えた画家、止水長原孝太郎」も行われる。