佐川恭一の『ゼッタイ!芥川賞受賞宣言』(中央公論新社)が、書店員芸人カモシダせぶんによる「カモシ賞2023」に選ばれた。

 「カモシ賞2023」は、芸人で現役書店スタッフであるカモシダせぶんが2023年に読んで特によかった本10冊を選び、その中から大賞を決めるもので、2011年からアメブロで独自に発表していたが今年は自身のYouTube動画【書店員芸人カモシダせぶんの読書のおとも】での発表となった。

 佐川の作品のほか、柚木裕子『教誨』(小学館)、いのうえ彩、長井史絵『菓の辞典』(雷鳥社)、原田マハ『リボルバー』(幻冬舎)、中山七里『殺戮の狂詩曲』(講談社)、藤崎翔『逆転美人』(双葉社)、市川沙央『ハンチバック』(文藝春秋)、田中達也『おすしがふくをかいにきた』(白泉社)、稲田豊史『ポテトチップスと日本人』(朝日新聞出版)、宮島未奈『成瀬は天下をとりにいく』(新潮社)の計10点が選ばれた。

 大賞は、『菓の辞典』と『ポテトチップスと日本人』が同時受賞となった。

 不純文学青年になった主人公を芥川賞へと導くためのゲームブックの『ゼッタイ!芥川賞受賞宣言』について、カモシダは「全てのシナリオが破壊的に馬鹿馬鹿しく、そして文学的である。とにかく楽しくて新鮮な読書体験が出来た」と評価。

 年始から吉報が届き、佐川にとって幸先のいいスタートとなった。今年はどのような作品で楽しませてくれるのか、大いに期待したい。