出版取次大手の日本出版販売株式会社(日販)が、「2023年 年間ベストセラー」(集計期間=2022年11月22日~2023年11月21日)を発表した。

 総合では小杉拓也『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』(ダイヤモンド社)が年間ベストセラー第1位に。学参ジャンルでは初の総合第1位となる快挙で、今年1月にテレビで取り上げられたことをきっかけに人気に火が付いた。

 第2位は児童絵本、鈴木のりたけ『大ピンチずかん』(小学館)。次々と訪れるピンチをレベルの大きさや起こる頻度で分類し、子どもならではのユニークな視点で紹介した絵本で、大人も楽しめることから老若男女に人気を博した。また発売からわずか1年半で絵本賞を8冠獲得したことでも話題となった。

 第3位と第4位にはホラー作家、YouTuberでもある雨穴による『変な家』(飛鳥新社)、『変な絵』(双葉社)がランクイン。Web記事発のオカルトミステリー。XやYouTubeの動画が人気のきっかけとなった。『変な家』は映画化も決定し、来年3月に公開予定。

 フィクションでは、『変な家』『変な絵』に続き、村上春樹による6年ぶりとなる新作長篇『街とその不確かな壁』(新潮社)が3位。相変わらずの人気ぶりを見せた。文學界新人賞、芥川賞受賞作である市川沙央『ハンチバック』も8位に入ったが、全体としては東野圭吾や結城真一郎などミステリやジャンル小説が強い結果となった(日販調べ)。

 学参ジャンルや児童書の強さが見られた2023年だが、来年はどのようなランキングになるのか。YouTuberやTicTokの人気者が今後も書籍を出していくことは予想に難くないが、その中でフィクションがどれだけ踏ん張れるのか注目したい。