公益財団法人サントリー文化財団が主催する「第45回サントリー学芸賞」が15日に発表され、菱岡憲司『大才子 小津久足――伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』(中央公論新社)など8作品が受賞した。

 本賞は1979年に創設された。「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門に分かれ、毎年、前年1月以降に出版された著作物を対象に選考し、広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動を行った人物を顕彰。2回にわたる選考委員会での審議を経て、受賞者および作品が決定された。

 「政治・経済部門」では、京都大学経済研究所教授の宇南山卓『現代日本の消費分析――ライフサイクル理論の現在地』(慶應義塾大学出版会)、東京大学社会科学研究所准教授の東島雅昌『民主主義を装う権威主義――世界化する選挙独裁とその論理』(千倉書房)が受賞。

 「芸術・文学部門」では、山口県立大学国際文化学部准教授の菱岡憲司『大才子 小津久足――伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』(中央公論新社)、映画研究者で大阪国際児童文学振興財団特別専門員の鷲谷花『姫とホモソーシャル――半信半疑のフェミニズム映画批評』(青土社)が受賞。

 「社会・風俗部門」では、愛知淑徳大学創造表現学部准教授の阿部卓也『杉浦康平と写植の時代――光学技術と日本語のデザイン』(慶應義塾大学出版会)、京都大学白眉センター/人文科学研究所特定准教授の小俣ラポー日登美『殉教の日本――近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック』(名古屋大学出版会)が受賞。

 「思想・歴史部門」では、北海学園大学法学部准教授の池田真歩『首都の議会――近代移行期東京の政治秩序と都市改造』(東京大学出版会)、フェリス女学院大学国際交流学部教授の新城道彦『朝鮮半島の歴史――政争と外患の六百年』(新潮社)がそれぞれ受賞した。

 なお、受賞者には正賞として楯、副賞として300万円が贈呈される。贈呈式は12月11日に都内で行われる予定。