スウェーデン・アカデミーは10日、2018年と2019年のノーベル文学賞をそれぞれオルガ・トカルチュクとペーター・ハントケに授与すると発表した。両者には賞金として900万スウェーデンクローナ(約1億2400万円)が贈られる。

選考委員によるセクハラや情報漏洩などの不祥事問題により、昨年の開催が見送られていたノーベル文学賞だが、体制を改めた上で今年から再び開催されることとなった。また、2019年度に加え、見送られていた2018年度分も同時に発表された。

2018年度ノーベル文学賞はポーランドの作家オルガ・トカルチュクが受賞した。オルガ・トカルチュク(Olga Nawoja Tokarczuk)は1962年に生まれ、93年に作家としてデビューした。2008年にポーランド文学の重要な賞であるニケ賞を受賞し、2018年にはブッカー国際賞受賞するなど、現代ポーランドを代表する女性作家である。邦訳された代表作は『昼の家、夜の家』『逃亡派』など。

2019年度ノーベル文学賞はオーストリアの作家ペーター・ハントケが受賞した。ペーター・ハントケ(Peter Handke)は1942年に生まれ、66年に小説『雀蜂』でデビューした。作風を個人から社会的に徐々に変化させつつ、小説から戯曲、脚本など幅広い創作活動を行っている。また、ユーゴスラビア紛争などに関しても取材し、西欧側メディアの姿勢を非難したことで議論を呼んだ。邦訳された代表作は『幸せではないが、もういい』など。

一部で受賞が期待されていた、日本人作家の村上春樹氏は今年も受賞を逃した。