スウェーデン・アカデミーは6日、2022年のノーベル文学賞をフランスの作家アニー・エルノーに授与すると発表した。賞金として1000万スウェーデンクローナ(約1億3000万円)が贈られる。

近年、スウェーデン・アカデミー内部の不祥事問題により2018年度の開催が見送られるなど体制が揺れ動いていたノーベル文学賞だが、2019年より体制を改めて再び開催されるようになった。

2022年度ノーベル文学賞の受賞者となったアニー・エルノー (Annie Ernaux,1940~)は、フランス出身の女性小説家である。1970年代より創作活動を始め、著書のほとんどは自伝的な小説となっている。ノルマンディー近辺イヴドでの子供時代から、青春、結婚と出産、そして老いた両親との関係にいたるまで、数多くの自身や家族の経験を小説に描いてきた。代表作は、『場所』、『恥』、『凍りついた女』など。2008年には、それまでの全作品に対してフランス語賞を受賞している。

今回のノーベル文学賞における授賞理由は以下の通り。

“for the courage and clinical acuity with which she uncovers the roots, estrangements and collective restraints of personal memory.”

個人的な記憶の根源や疎外、集団的な抑圧を明らかにする、彼女の勇気と鋭敏さに対して。

一部で受賞が期待されていた、日本人作家の村上春樹氏は今年も受賞を逃した。