小説家の津原泰水が、10月2日に死去した。河出書房新社が5日、公式サイトで発表した。58歳だった。

河出書房新社によると、闘病の末に亡くなったと津原の家族から連絡を受けた。津原は長篇『夢分けの船』(「文藝」連載・完結)、宇野亞喜良とのコラボレーション企画『ヴィジュアル版 五色の舟』、「短篇集」など多くの本を読者に届けようと進めていたという。

津原は1964年、広島県生まれ。青山学院大学卒。少女小説家”津原やすみ”としての活動を経て、97年に現名義『妖都』を発表。幻想小説家として本格的に活動を始める。2006年に刊行された『ブラバン』はベストセラーとなった。

また2009年『バレエ・メカニック』、11年『11 eleven』(第2回Twitter文学賞国内部門1位)は、各種ランキングを席巻した。14年に短篇「五色の舟」(『11eleven』収録)が「SFマガジン」の”オールタイム・ベストSF” 国内短篇部門1位に選出。同作は近藤ようこ氏により漫画化され、同年、第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。〈ルピナス探偵団〉〈幽明志怪〉シリーズほか、『少年トレチア』『綺譚集』『ブラバン』『ヒッキーヒッキーシェイク』『歌うエスカルゴ』など著作多数。