『感傷旅行』などの恋愛小説で知られる作家の田辺聖子が、総胆管結石により6日に死去していたことが分かった。91歳だった。葬儀は既に親族により行われており、東京と大阪で後日それぞれ「お別れの会」を開く予定だという。

田辺聖子は1928年に大阪府大阪市で生まれ、幼少期から関西の風俗に親しんでおり後に作風に繋がった。戦前から文学に親しみ、1943年には『少女の友』の作文欄で川端康成の選により小説「さら」が掲載されている。戦後、1957年に『花狩』が雑誌掲載されたことでデビューし、1964年に『感傷旅行』(センチメタル・ジャーニイ)で第50回芥川賞を受賞した。主に大衆文藝の分野で活躍し、関西の文化を背景にした恋愛小説やユーモアあふれるエッセーで人気を博していた。1995年には紫綬褒章を受章し、2000年には文化功労者に選出されている。

私生活では1966年に川野純夫と結婚し、後にその夫婦生活を描いたエッセイ『カモカのおっちゃん』シリーズで親しまれた。また、2006年下半期にはエッセーを元にしたNHK朝の連続ドラマ「芋たこなんきん」が放映された。