(第5話) その翌日は日曜日だった。しかし在宅の創作者に祝祭日など関係ない。依本は早朝から起きだし、歯だけ磨くとインスタントコーヒーを入れ、すぐパソコンに向かった。 開け放…
(第4話) 女は当然依本に視線を送ることなく、依本が今来た方へと進んでいった。 歩行者用の信号が点滅し、依本は渡りきってから通りの向こうを見やった。しかし女の姿はなかった。…
(第3話) 「内田、かぁ」 依本のちょっと大きめの呟きに、店のオヤジが怪訝そうに顔を向けた。 「いやゴメン、昨日来た編集者のこと。なんか変わった男だったからさ」 「じ…
(第2話) 翌日、依本は編集者の内田に電話をし、前日に聞き忘れたことを二、三質問した。 電話をしたのは、質問もさることながら仕事の依頼が本当に本当なのか探りを入れたかった…
(第1話) 駅で編集者と別れた依本は、馴染みにしていた「大葉」の暖簾をくぐった。 「いらっしゃ……、なぁんだ、ヨリさんか」 「なんだはないだろ。客だぜ、おれは」 オ…
雨の日の、何気ない日常の一コマ。
最終話
19話
18話
ナツキ第17話
織田作之助『大人の童話』はこれにて完結。この終幕を貴方は予想していたでしょうか。余情はあれど、余りにも短いので短編集『素顔』のあとがき、その他関連文章も載せました。初出は大谷晃一氏の著書によると…
大和川で砂金が採れる、という新聞記事は実際にあったのでしょうか。大谷晃一氏の著書によると「十四、五年に作之助は日本工業新聞記者で大阪鉱山監督局に詰めていた。17年に同局の文化委員になった。」と、…
この作品、オダサクが書いた物では無いという可能性はどうでしょう。「ですます調」なのがこの作品の大きな特徴であり、オダサクの流れるような饒舌体からするとかなり違和感があります。他の作品でこのような…
4行目の「擔ぎ思」は間違いなのでしょう、『底本織田作之助全集』では「担ぎ屋」に改められています。三吉の「担ぎ屋」という設定に関しては、昭和12年頃オダサクの妹・登美子の夫・西沢多四郎の呉服の行商…
出来る限り1943年1月発行の作品集『素顔』(撰書堂)の本文ママ。二点之繞は再現出来ませんでした。図書館の倉庫の隅に追いやられた『底本織田作之助全集』では新字体に改められています。この作品は初出…
ナツキ第16話
なんてすかね。ちょっとした余裕が立腹を誘うっていうか、オシャレが身の丈にあってないっていうか、攻める場所を間違えてるっていうか。 「だったら割り切って全裸になればいいのにさー」 あー、そう…
ナツキ第15話