西村賢太氏に捧げる

山谷感人

エセー

791文字

個人的な感想でしか非ず。

破滅派の高橋氏は「ルンペンハウス」と呼び、僕は自ら「ゲゲゲの森」と名付けているが所謂、ディケアに行っていた老人がコロナの濃厚接触者になり、同じ敷地に住んでいる僕も自室待機をさせられている。
バリ島に長期滞在していた折、ニュピと云う名の日が有って、その一昼夜は観光客とあれど外に出れない。それを追憶した。まあ、コソコソ、アルコールは購入しに行っているが。

そうした中、西村賢太氏の訃報が入った。僕は氏の、ほぼ全作品を読んでいるが熱心なファンでは、ない。そもそも僕は、肉体労働なぞしないし、古本転売なぞ器用な事も無理である。最近は弾いてないが「利き手で人を殴ったら楽器も弾けなくなるぜ」のロックスター達の教えを守り、暴力なぞは一切、しない。破滅型の文学者としては、尊敬は皆無であった。
だが然し、今回の急逝で思った事実は、好き嫌いは置いて、現代の私小説の旗手を失ってしまった、と云うのは如実の事実であろう。
無論、駄目人間の特権(敢えて、特権と書く)として暴力的ながらも、ナイーヴ、繊細な文章も多かった。僕みたいなルンペンが語るのは烏滸がましいが、惜しい、とは感じた。石川県にある藤沢氏の隣に生前、設けた墓で今世も来世もないが安らかに。
僕が言うのもなんだが、以前「西村賢太が大好きです!」みたいな青年に会った事がある。「あの作品は良かったねえ」と返事をしたら、三年前くらいに発行されたモノなのに「読んでないし、識らない」とデッドボールを受けた事があった。そうした、私小説には厳しい世の中である。不遜になるが、タクシー移動中? 良かったのじゃないか? とも考える。
作品論に関しては、主幹の高橋氏も「書く」とLINEで語っていたし、委ねよう。ただ、惜しい。あくまで作品や生き方に賛同が出来なくても。

最後にパクりだが西村賢太氏に相応しい台詞がある。「いづれにしろ、君は良くやった!」
アデュー。酔いながら。

2022年2月6日公開

© 2022 山谷感人

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