源氏鶏太に就いて

山谷感人

エセー

668文字

源氏鶏太。サラリーマン小説の大家である。

ミリオンセラー作家。
だが然し、世に埋もれた作家、源氏鶏太。サラリーマンなぞ三日間くらいしていない僕が所謂、一連の源氏氏のサラリーマン作品を読んでいたのは結句、百円文庫コーナーに羅列されていたから、である。
ユーモア。悲哀。ネクタイ勤めの厳しさを笑いながら教わった気分は有る。一時期は売れ過ぎて挙げ句、何せ百円で買えたから。流通としては然し、百円コーナーに大量に投げ捨てられているのは、美学てある。売れていたって事だし、僕ら、クズの読書好きも購入しやすい。
昭和の四十年代だったか、リアルタイムではないが彼は、そのサラリーマン作品で連載を八本くらい持っていた、らしい。新聞紙にインタビューを受けた時、簡単に云えば「超、売れっ子ですね!」と訪ねられ「いやはや。お陰さまで……」と笑いったなる記述が残っている。
新聞記者とは容赦がないから「お、サラリーマン小説! 書くときもネクタイしているのですか!?」 みたいな、糞としか表現が出来ない、台詞も浴びせかけてくる。敢えて、にて。だって向こう側も商売だもの、煽って聞くのが義務だから。
晩年の源氏氏は「今は売れてますが、僕の作品は自身が他界する。したら、何も残らないでしょう」と語っていたらしい。大丈夫。自身が予見したように、残っていない。
たが然し、全くではない。先程も述べたように、僕らチビっ子、偶々、ポンチ画より活字を読みたいな~なる僕を含めた少年達は、黄金の百円コーナーに集い、貴方から、てにをは、学んでいる。皆、サラリーマンにはならなくて、それぞれ多分、迷走しながらも文藝の道を歩んでいる、だろう。

2022年5月4日公開

© 2022 山谷感人

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