ディヴムスティンがメタリカから追い出された夜

山谷感人

エセー

1,382文字

タイトルのお題に就いて短く、語る。

ソ連がロシアに戻った後、それまで民に試聴を禁止していた米国のロックバンドを、開放と云う名の元に呼んだ。モスクワでのショータイムを開いた。まだ機関として存在していたKGBがヘリコプターを飛ばしたりして厳戒監視する中、地平線が判らない程の民衆が、そのパーティーに集まった。メイン・イベンターは、メタリカであった。僕はその時、健全な中学生であったから後追いで観たハナシになるが。
そもそもメタリカと云うバンドは、ドラムとヴォーカル、リードギター、ベース。その大天才の四人が偶々と集まって結成したバンドである。だが然し、そのモスクワでのショーに参加したオリジナルメンバーは、ドラムとヴォーカルしか居ない。ベースは不幸な事故で他界した。その後、新たなベーシストと雇われ契約で入れたが、先代のベースを失ったショックと、そうしてバンドに付きモノのエゴが深すぎたのだろう……。その次のアルバムは、ベースの音を一切、聴こえないようにして発表した、なる前代未聞の暴挙をしている。正義、ジャスティスで非ず。感情としては判るが。
本題に入る。
リードギターだったディヴムスティンがメタリカをクビになったのは、その以前のハナシである。とにかくムスティンには暴れる訳ではないが、アルコールを常時、オーバードゥースする傾向にあったらしい。そこで此れからメジャーデビューしようとしていたドラムとヴォーカルは、アイツの音は良いけどレーベルと契約するには、厄介だな……、ムスティン居たら。と相談したらしい。その時は他界前の、ベースも含めて四人、おんぼろのアパートで共同生活をしていた。拾って来た猫もいたらしいから四人と一匹だ。
ムスティンが酔っ払て帰宅した時ドラムとヴォーカルは、もう此処に君の居場所は、ないと告げたらしい。ムスティンは、嘘だろ、おい。僕も酔っ払いだが君らも常に似たようなモノじゃないか!? と述べたらしいが、これからメジャー契約をする為に、君は、切る。今すぐカリフォルニアへのチケットだけは用意するから、ゲットアウトして呉れ。と、述べられたらしい。後年、他界するベーシストは、それはどうだろうな? と悩んだらしく、その会話の折は、アパートの屋上に逃げていた、らしい。
ムスティンが強制的に、追い出された時、ああ、もう判ったよ。だが然し、猫は連れていく、と述べたらしい。当然、その要望は通らなく、カリフォルニアへのバスは二十分で便がある。グットバイ。と通告された、らしい。
メタリカのモスクワでのエンターテイメントを観た時、ムスティンは、どう想ったのであろうか?
ソ連に、KGBが見守る中、米国の旗を掲げる旧友のドラムとヴォーカル。地平線の向こう側を感じたのだろうな、と想像して、やまない。
だが然し、無論、ご存知の如くムスティンはメガデスと云うバンドを自ら結成してモスクワでのショーがあった翌年くらいには来日公演もしている。まだベイビーの年齢だったから観には行ってないが、その時にムスティンが日本で受けたインタビューは有名である。
奈良漬けを食べさせられ、うわっコレ、アルコールが入っているだろ? 止めて呉れ。その養分で俺はモスクワも猫も、手放す事になったんだ!
だが、そうしたムスティンがメガデスのオリジナルメンバーであるベースを解雇したなるニュースがインターネット上で拝読したのは、非常に残念で、あった。

2021年6月1日公開

© 2021 山谷感人

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