2017年11月に人気を集めた「はめにゅー」の記事をおさらいする「月刊はめにゅー」。忙しくて毎日はチェックできないという人も、この機会に話題の文学ニュースをまとめて確認しておこう。

新着ニュース部門

まずは11月1日~11月30日に更新された新着ニュース部門から見ていきたい。

第10位~第4位

10 明治書院『新釈漢文大系』が58年で完結 2018年5月に最終刊 11/19
9 古本の売り上げを出版社に還元するサービスが開始 11/16
8 小説のためのハッカソン、NovelJam 2018が参加者募集中 11/30
7 やはり著作権保護期間は70年に延長? 外務省がひっそり公表 11/22
6 TPPの著作権保護規定凍結へ、空白の20年回避 11/2
5 第25回文学フリマ東京が終了 破滅派報告 11/25
4 講談社文庫が創刊46周年で乃木坂46とコラボ 「乃木坂文庫」展開中 11/10

 

今月の10~4位は以上のような結果だった。『新釈漢文大系』完結の話題から文学フリマやNovelJamの話題まで、古今東西の文芸ニュースを扱うはめにゅーならではのラインナップといえるのではないだろうか。6位と7位にはいずれもTPPにまつわる著作権保護期間のニュースが入ったが、わずか20日のうちに正反対の話になってしまったあたりはさすが役所のやり口と言うべきだろうか。

第3位

皇后歌集がドイツで出版 50首を原文とドイツ語で所収 11/15

3位に入ったのは、なにかと最近話題の皇室関連ニュースだった。はめにゅー界隈には右翼も左翼も両方いるが、思想や信条を割り引いても美智子皇后の短歌は秀歌といえるだろう。グローバルにその作品が評価されていくことは素晴らしいことである。もっとも、皇后という立場にある人間の作品からイデオロギーを完全に切り離すというのは不可能でもあるので、日本人が客観的評価を下すのはむずかしいのかもしれない。

第2位

ノーベル文学賞周辺でも性被害か 「19人目の会員」を女性作家らが告発 11/25

全世界に激震の走ったスウェーデン・アカデミーのスキャンダルが2位にランクインした。相継ぐ「#MeToo」タグでの性被害告発の流れに乗ったようなニュースだが、詳細があきらかになればなるほどアカデミーの闇の深さが浮き彫りになる。一方で、はたしてこれが対岸の火事なのだろうかという気もしないではない。

第1位

柳美里の自宅兼書店「フルハウス」が2018年4月開店 12月にはプレイベントも 11/21

11月のアクセスランキング第1位に輝いたのは、芥川賞作家・柳美里の書店開業についてのニュースだった。かつては2ちゃんねるで大炎上したこともある柳だけに、自宅の住所を全世界に公開してしまうというのはリスクも大きいことだろう。それでも被災地復興のためにとにかく動こうという姿勢からは、柳の一貫した信念を感じられる。筆者も来春以降に一度訪れてみたい。

既報ニュース部門

つづいて、10月までにアップされたニュースのなかで11月にアクセスの多かった記事もチェックしておこう。こちらは上位5本を一気に見ていく。

5 温又柔が宮本輝による芥川賞選評に憤慨 同調する作家も 8/15
4 特別展「リスペクト 好き好き大好き」鎌倉文学館で10月1日からスタート 9/20
3 『広辞苑』第七版が2018年1月発売 10年ぶり改訂へ 10/24
2 氷室冴子青春文学賞(仮)が今秋創設へ エブリスタとの連携も 4/8
1 「絶望名言」が4月よりレギュラー化 ラジオ深夜便の人気コーナー 4/21
あいかわらずNHKラジオ「絶望名言」の記事が人気だ。公開当初はけっして高い注目をあつめたニュースではなかったのだが、隔月で放送されるたびにアクセスが上昇する。筆者もラジオ好きなので「ラジオ深夜便」のリスナーが多いことは知っていたが、マスメディアの影響力はまだまだ馬鹿にできないということか。
2位には、こちらも常連の氷室冴子青春文学賞の記事が入っている。ずっと「(仮)」がついたままだったが、10月には公式ウェブサイトおよび公式Twitterも起ち上がった。具体的な応募要項が発表されたらまた記事にしたいと思う。

以上、11月にアクセス数の多かった文学ニュースを総ざらいしてみた。果たして12月はどのような文学ニュースが注目を浴びるのだろうか。