国家間協定であるTPPに対し、ディズニーを擁する米国が著作権保護期間70年を強く主張していた。このままいけばおそらく採用されただろうが、トランプ大統領は就任後、TPP離脱の大統領署名を行い、なかばどんでん返しのような形で残された国々がTPP締結に向けて会合を重ねていた。

著作権保護期間の延長については日本国内でも反対の声が多く、とりわけ青空文庫では20年に渡って「新作」が追加されないこともあり得た。ひとまずの凍結により、三島由紀夫や川端康成といった文豪の作品も追加されることになりそうだ。ちなみに、破滅派でもパブリックドメインの作品を公開している。

著作権は作者の財産を守るためにも重要ではあるが、50年から70年、果ては90年といった具合に「ミッキーマウス保護法」と揶揄されるような事態では本末転倒だ。大多数の作品は50年も経てば商業的な価値はほとんどなく、孤児作品(orphan works)が増えるだけだ。電子図書館のような新しい形式も増える昨今、議論は尽きないだろうが、世界を驚かせたアメリカ大統領選の意外な帰結として覚えておきたいところだ。