岩波書店は2017年10月24日、国語事典『広辞苑』を10年ぶりに改訂することを発表した。最新版となる第七版の発売は2018年1月12日で、1万語の新語が収録されるという。予約は11月3日から開始される予定だ。

『広辞苑』 は1955年に初版が刊行され、国語事典に百科事典の要素を取り込んだ辞典の先駆けとして日本中で広く親しまれてきた。かつては学校や企業には必ず常備され、言葉の意味を問う際の出典としてしばしば利用されるなど、国民的辞典の名を欲しいままにしていたことで知られている。電子辞書にも『広辞苑』のデータがよく活用されているので、知らず知らずのうちに目にしている人も多いのではないだろうか。

しかし近年はインターネット検索やWikipediaの台頭もあり、『広辞苑』の存在感は以前ほど大きなものではなくなっているのが現状だ。かつては7~8年ごとに改訂がおこなわれていたが、21世紀以降あきらかに改訂のペースが落ちている。刻一刻と新しい言葉が生まれては消えていく現代において、紙の辞書という形にこだわることはユーザーのニーズには合っていないのかもしれない。

だが、小学生のころ毎晩のように『広辞苑』 を読みあさって見識を広げていた筆者としては、まだまだ紙の辞書ならではの役割もあるはずだと信じたい気持ちもある。このタイミングであえて改訂版を刊行しようという英断は素直に応援したい。

なお、今回新たに追加された語としては以下のようものが挙げられている。

【現代語】 朝ドラ、安全神話、いらっと、上から目線、お姫様抱っこ、価格帯、可視化、がっつり、加齢臭、口ぱく、小悪魔、ごち、小腹が空く、婚活、雑味、直箸、自撮り、勝負服、白物家電、戦力外、卒乳、立ち位置、ちゃらい、名ばかり、乗り乗り、万人受け、美品、惚れ直す、まかない料理、無茶振り

【カタカナ語】 アプリ、イップス、エコバッグ、カルチャースクール、キーマカレー、キャリーバッグ、クールビズ、クラウド、グランドデザイン、クリアファイル、コインパーキング、サプライズ、スピンオフ、スマホ、スルー、チュロス、ツイート、デトックス、ドクターヘリ、ネイルサロン、ハニートラップ、バリスタ、パワースポット、ビッグマウス、フードコート、ブロガー、メアド、リスペクト、リマインド、レジェンド

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【人名】 赤塚不二夫、植田正治、宇沢弘文、梅棹忠夫、永六輔、加藤周一、川上哲治、大鵬、高倉健、立川談志、つかこうへい、鶴見和子、勅使河原宏、土井たか子、土光敏夫、戸塚洋二、中内功、南部陽一郎、原節子、文在寅、劉暁波、アレクシエーヴィチ、オバマ、(ピエール)カルダン、(マイケル)ジャクソン、(スティーブ)ジョブズ、スピルバーグ、チャスラフスカ、(ボブ)ディラン、ベッケンバウアー