バリューブックスは長野上田市にある古本業だが、店舗を構える昔ながらのイメージと異なり、Amazonマーケットプレースなどで販売を行なっている企業である。事業の前身は創業者の「せどり」から始まったとのこと。古書店への卸も行なっているため、イメージとしては古本専門商社である。

バリューブックスが出版社に還元するプロジェクトを開始したのは、同社の値付けの経験からだそうだ。ブックオフなどで100円コーナーに投げ売りされる本は、ベストセラー本などが多く、買取時も値段をつけられないことが多い。しかし、専門書などの高額な「良書」は、高く売れることが多く、値崩れしないという発見があった。同社はこうした「良書」を作る専門的な出版社とのパートナーシップからはじめ、ゆくゆくは「良い本を作ると長期間にわたって収益が返ってくる」という流れを目指している。

こうしたパートナーシップは出版社別のリユース率(査定時に値段がつく本の割合)を根拠とするようで、最初のパートナーは以下の4社。古書店と出版社が正式にパートナーシップを結ぶのは「業界初の試み」とのこと。

  • アルテスパブリッシング
  • 英治出版
  • トランスビュー
  • 夏葉社

今後どのような展開を迎えるのかはわからないが、売り上げの33%が還元ということなので、7,000円の本があったとして、古本買取が2,000円、3,000円の利益を乗せて5,000円で販売した場合、(5000 – 2000) × 0.77 = 2,310円がバリューブックスの利益となる。筆者の無学では健全な古書業の仕入れ価格がわからないのだが、高額な書籍であれば、こうしたビジネスのあり方は版元および小売の双方に利益があることだろう。