袋小路

妖怪妖(第5話)

消雲堂

小説

671文字

「田辺さん、袋小路の奥の袋小路に入ったことがありますか?」

「え?袋小路って路地の突き当たり…行き止まりのことでしょ?」

「そうです」

「行き止まりだから、その奥には入れないでしょ?」

「袋小路の奥に袋小路があるんです」

「はは、確かに行き止まりだと思ったら細い路地があって、その奥が行き止まりだってことはありましたけど…」

「そう、そういうことはよくありますよね。でも違うんです。行き止まりだと思ったら、そこに別な袋小路があったんです」

「そんな袋小路があるんですか?」

「あります…いや、ありました。一箇所だけあったんですよ」

「え…ということは今はないってことですね?」

「はい、揺谷(ゆるぎだに)3丁目にあった袋小路です」

「市内の再開発でなくなっちゃたんですか?そんな工事してたかなぁ?」

「いえ…いきなりなくったんですよ」

「そんな馬鹿な…香村さん、からかうのはやめてくださいよ、SFや怪談じゃあるまいし…」

「ところがあったんですよ。間違いないです。恐ろしかった…」

「恐ろしかった? そこで何かあったんですか?」

「出れなかったんですよ」

「袋小路からですか?元来た道を戻るだけじゃないですか?」

「袋小路が延々と続いていたから出られなくなったんですよ」

「でも最後は行き止まりがあるでしょう…」

「ありましたよ」

「ほらね…そこが本当の袋小路なんですよ」

「そこは…墓地でした」

「墓地?揺谷には墓地もお寺もないですよ」

「はい、ありません、でもそこは墓地だったんです。引き返そうとして振り返るとそこも墓場だったんですよ」

2014年3月14日公開

作品集『妖怪妖』第5話 (全9話)

© 2014 消雲堂

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