ナナちゃん

諏訪真

小説

817文字

破滅派会誌『90年代ホラー』に入れそびれた話。
子供心に、これを聞いたときは夜寝られなかった。

筆者が小学生の時に聞いた話だ。

とある墓場で子供たちが遊んでいる。この墓場はかなり広く、公園に隣接していることもあって近所の子供らの遊び場にもなっていた。

皆近所の子供らだが一人だけこの近くに住んでいる者ではない子が混じっている。その子のことが気になった子がいる。仮にA子としていこう。

ある日A子がその子に名前を聞いてみると、その子はナナと名乗った。A子とナナはすぐに打ち解けて仲良くなった。

A子はその日もナナと遊んでいた。時間が経つのも忘れるほど楽しかったのか、やがて日が暮れ周りの子が帰って行く。

私も帰ろう、とA子が言うと、ナナはもうちょっとだけ一緒にいてちょうだい、と引き留めた。二人だけになっても遊んでいると日も沈みかけ、辺りもいよいよ暗くお互いの顔もはっきりと見えなくなった頃だった。

私、そろそろ帰らないとお母さんに怒られる、とA子はナナを残して墓場から帰ろうとした。

しかし、幾らあるけど墓場から出られない。明らかにおかしい。確かに広い墓場だが10分も歩いても出られないほどの広さではない。

何か異常に気づいて、A子は元来た道を引き返した。すると、さっきまでナナと一緒にいた場所にはもうナナはいないが、近くの墓石が動かされた後があり、墓石の下に地下に続く階段が見えた。

辺りは暗く心細さも極まっているのに、その階段の先が気になったA子が地下に降りると、そこにはナナと思しき子が横たわっていた。

服はナナの着ていたものだが、顔には白い布が被せられている。布を取ると、それは腐乱し、蝿が集っているナナの顔だった。

あまりの恐ろしさに悲鳴を上げ、階段を駆け上ろうとするが、またしても幾ら登れど地上には出られない。

後ろを振り返ってみるとそこには……。

 

A子の母が、娘の帰りの遅さに心配して墓場に来てみると、入り口の辺りにA子の首が転がっているのを見つけた。胴体の方は、墓場の中、ナナと遊んでいたところにナナの死体と並んであったという。

2021年4月29日公開

© 2021 諏訪真

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