作り話

渡海 小波津

小説

537文字

少し未来のお話

作り話

 

時代は、これから先のこと。再生紙技術が進み、炭素と空気中の水蒸気から紙を構成することができる時代のことである。

静かな部屋にコピー機が一台、作動中のランプを点けて紙を排出していた。

排出トレイが満紙になると自動的に隣の台に押し流される仕組みです。だから紙が切れるまで止まらないのですが、紙の材料があれば止まることすらありませ ん。さらに最新システムを利用すれば、あなたの好きなキーワードを組み合わせて、好みの作家に似たお話が作れてしまいます。

近頃街頭では、しきりにそんな宣伝が流れている。私は一人、旧電気街を歩いていた。世の中から電気がなくならないのが私は不思議だと思った。なぜならこの世界は、とっくに終わっているからだ。

静かな部屋にコピー機が一台、紙を排出している。ギィー、シュシュシュ、ギィー、シュシュシュシュ、コピー機の横には大きな箱が置いてある。それはホース のようなものでコピー機と繋がっており、給紙ランプが点く度に箱が振動を始める。どうやら炭素を送り込んでいるらしい。箱にはその炭素の元となるそれが山 のように積み上げられている。

何もない部屋で刷り続けられるそれは羅生門を模した近代の話。その傍らで、炭素を供給するは数多の死人たち。

2012年10月24日公開

© 2012 渡海 小波津

読み終えたらレビューしてください

リストに追加する

リスト機能とは、気になる作品をまとめておける機能です。公開と非公開が選べますので、 短編集として公開したり、お気に入りのリストとしてこっそり楽しむこともできます。


リスト機能を利用するにはログインする必要があります。

あなたの反応

ログインすると、星の数によって冷酷な評価を突きつけることができます。

作品の知性

作品の完成度

作品の構成

作品から得た感情

作品を読んで

作者の印象


この作品にはまだレビューがありません。ぜひレビューを残してください。

破滅チャートとは

この機能は廃止予定です。

タグ

この投稿にはまだ誰もタグをつけていません。ぜひ最初のタグをつけてください!

タグをつける

タグ付け機能は会員限定です。ログインまたは新規登録をしてください。

作者がつけたタグ

純文学

"作り話"へのコメント 0

コメントがありません。 寂しいので、ぜひコメントを残してください。

コメントを残してください

コメントをするにはユーザー登録をした上で ログインする必要があります。

作品に戻る