石川九楊大全実行委員会が主催する書家・石川九楊いしかわきゅうようの大規模展覧会「石川九楊大全」が6月8日~7月28日まで、都内上野の森美術館で開催。

 石川九楊は1945年福井県生まれの書家。京都大学法学部卒業。京都精華大学教授、文字文明研究所所長を経て、現在、京都精華大学名誉教授。「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かし、書の構造と歴史を読み解く。評論家としても活躍し、日本語論、日本文化論は各界にも大きな影響を与えている。作品制作・執筆活動、いずれの分野でも最前線の表現と論考を続け、現在までに書作品千点・著書百点以上を世に送り出した。

 現代における書の美をひたすら追究し、言葉と格闘し続けてきた石川九楊の書作品2000点から厳選した300点余を、6月30日までの前期「【古典篇】遠くまで行くんだ」、7月3日~7月28日までの後期「【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ」として、ひと月ごとに全て掛け替える大規模連続展覧会。

 また、6月14日には旧東京音楽学校奏楽堂で音楽会を行う。「書は音楽である」を立証するために企画されたコンサート。書の美を形成する「筆蝕ひっしょく」を計測・解析・データ化し楽曲とした2曲を「電子音楽奏」と「弦楽四重奏」により演奏する。

 7月7日には上野精養軒桜の間で講演会も。「書は文学である」として、川端康成、太宰治、三島由紀夫などの揮毫や原稿の書きぶりが、その文学作品をいかに雄弁に物語るか。秘密を解き明かす。

 さらに「石川九楊大全」展の開催にあたり、全作品を収録したカタログレゾネ(『石川九楊全作品集』思文閣出版)を、今夏から販売開始。チケットなどの詳細は公式サイトで確認を。