7月15日夕方、日本で最も有名な文学賞である芥川龍之介賞・直木三十五賞の第163回受賞作が、東京・築地の新喜楽で発表された。

芥川賞の選考委員は、小川 洋子、奥泉 光、川上 弘美、島田 雅彦、平野 啓一郎、堀江 敏幸、松浦 寿輝、山田 詠美、吉田 修一の9名。

直木賞の選考委員は、浅田 次郎、伊集院 静、角田 光代、北方 謙三、桐野 夏生、高村 薫、林 真理子、三浦 しをん、宮部 みゆきの9名。

 

芥川賞 高山羽根子「首里の馬」、遠野遥「破局」


 

芥川賞を受賞したのは、高山羽根子「首里の馬」(新潮3月号掲載、新潮社)、遠野遥「破局」(文藝夏季号掲載、河出書房新社)。二人が同時に授賞するのは第160回以来である。

高山羽根子は3回目のノミネートでの受賞となった。受賞作である「首里の馬」は、沖縄に暮らす友人とのオンライン通話と、幻影の中の宮古馬のエピソードが交差する中で世界の変貌を垣間見る内容となっている。

遠野遥は初ノミネートでの受賞となった。2019年に「改良」で第56回文藝賞を受賞しデビュー。受賞作である「破局」は、エリートの大学生が二人の女性との交際を通し虚無感につつまれていくキャンパスライフを描く。

 

直木賞 馳星周「少年と犬」

直木賞を受賞したのは馳星周「少年と犬」(文藝春秋)。7回目のノミネートでの受賞となった。「少年と犬」は、東北震災で職を失い、家族を養うために犯罪まがいの行為に手を染める男と、彼が拾った痩せた野良犬が引き起こすドラマを描く。