破滅派同人の佐川恭一が、小説「踊る阿呆」で第2回阿波しらさぎ文学賞の大賞を受賞した。8月18日付の徳島新聞が伝えた。

第2回 徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞は、徳島新聞社と徳島文学協会が主催する文学賞であり、最終選考委員を芥川賞作家の吉村萬壱が勤めることなどで話題となっていた。応募作品の条件としては未発表の小説
で、徳島の文化・地名・歴史等を盛り込むことが含まれている。全国から426件の応募があったが、一次選考では26作が通過しており、その中に佐川恭一の「踊る阿呆」も存在した。

選考結果は8月18日に徳島新聞紙上で発表され、大賞は佐川恭一の「踊る阿呆」に送られた。また、徳島県内在住者と徳島出身者を対象にした徳島新聞賞は桐本千春の「胸をつらぬく」が受賞した。25歳以下が対象となっている徳島文学協会賞は宮月中の「いらっしゃいマンション」となった。

今回の大賞を受賞した「踊る阿呆」は、徳島出身の青年を主人公として、阿波踊りと彼女作りの日々を描く青春小説である。選考委員の吉村萬壱は、「踊る阿呆」について「あざとくなく自然な感じで爆笑できる作品。面白さが最後までぶれず徹底していた。肩の凝らない内容ながら『自分とは何か』という哲学的なテーマも含まれ、ばかばかしい中にも真摯なものを感じた」とコメントしており、その内容が伺える。大賞を受賞した佐川恭一は大阪府在住の34歳男性で、先日結果が発表された歌舞伎町文学賞でも特別賞を受賞している。破滅派からは現在4冊の電子書籍を刊行しており、多くの人から高い評価を得ている。

第2回徳島新聞 阿波しらさぎ文学賞の表彰式は、9月8日午後2時から徳島市の新聞放送会館で開催される。佐川恭一の更なる活躍に期待したい。