フランスの文豪マルセル・プルーストが20代半ばに執筆した、今までほとんど知られていなかった短編9作が、プルーストの死後97年を経て10月9日に『Le Mystérieux correspondant et autres nouvelles inédites』として出版されることとなった。

マルセル・プルースト(1871~1922)は、代表作として大河小説『失われた時を求めて』などが良く知られており、後世の作家にも多大な影響を与えている。今回出版される9つの作品は、プルーストが1890年代に執筆し、最初期の短編集『楽しみと日々』に当初収録されていたものの、後にプルースト自身の判断で削除されたものとされる。その後、フランスのファロワ出版社の創業者にしてプルースト研究者でもある故ベルナール・ド・ファロワがこれを発見し、ストラスブール大学教授リュック・フレイセの研究などを経て今回の出版につながった。

プルーストが作品を取り除いた理由としてリュック・フレイセは、当時は社会に受け入れられなかった性描写や同性愛描写が多く存在し、反感を買うと考えたからではないかと考察している。また別の解釈として、単にプルーストが作品集のバランスについて考え直し省いただけということもあり得る、としている。プルーストは同性愛者であったことが知られている。

マルセル・プルースト『Le Mystérieux correspondant et autres nouvelles inédites』は、フランスのファロワ社より10月9日に発売される。詳しい情報は下記リンクを参照のこと。