今月は新潮、文學界、群像、すばるの4誌が発売された。4誌の概観をここで紹介しよう。

 

新潮 2019年1月号

・トップに「創作大特集 読むことは、想像力」。町田康「漂流」、瀬戸内寂聴「あこがれ」、松浦寿輝「わたしが行ったさびしい街」、ヤマザキマリととり・みき「プリニウス」が掲載される。プリニウスは移籍してきた小説であり、新潮読者として注目に値するだろう。

・その他、谷川俊太郎、金井美恵子、杉本博らの創作が掲載される。

・宮本輝の「流転の海」完結を記念した、宮本輝と小川洋子の特別対談が掲載される。37年間に及ぶ連載はどう締めくくられるのだろうか。

・全米図書賞を受賞した多和田葉子、ゲンロンの社内問題を吐露し話題となっている東浩紀の特別原稿も掲載。

・田中慎弥の連作「丸の内北口改札」が今号で完結した。

 

文學界 2019年1月号

・冒頭に二大対談が掲載。落合陽一×古市憲寿「「平成」が終わり、「魔法元年」が始まる」では未来社会と小説の関りについて、多和田葉子×温又柔「「移民」は日本語文学をどう変えるか?」ではこれからの日本において増えるであろう移民と文学の関りについて対談する。

・新連載小説として磯﨑憲一郎の「日本蒙昧前史」が登場。

・創作に黒井千次、吉村萬壱、沼田真佑、山崎ナオコーラ、古川真人など。

・平野啓一郎、小山田浩子、上田岳弘が、今年10月に韓国のソウルで開催された東アジア文学フォーラムの報告を書いた。

・エセーには、岡﨑乾二郎、青木淳、秋元孝文。

 

群像 2019年1月号

・特集は「文学にできることを Ⅰ〈短篇創作〉」。瀬戸内寂聴、笙野頼子、日和聡子、高橋弘希、小山田浩子が短編を掲載し文学の可能性に迫った。

・多和田葉子の「献灯使」全米図書賞翻訳文学部門受賞記念として、阿部公彦「檻の中のライオン」、都甲幸治「死より詩を――多和田葉子の文章」、小澤英実「パフォームする言葉たち」が掲載された。

・その多和田葉子も今月から「星に仄めかされて」を新連載する。

・第71回野間文芸賞を受賞した橋本治、第40回野間文芸新人賞を受賞した金子薫と乗代雄介の作品に関し、橋本治による随筆や、高橋源一郎と金子薫・乗代雄介による記念対談も掲載。

・中沢新一の連載「レンマ学」が今号で第一部完結となった。

 

すばる 2019年1月号

・特集は「本を読む」。吉井由吉、阿久津隆、野村由芽へのインタビューほか、全国書店へのルポやアンケートなどが行われた。

・ルポでは柴崎友香が八戸ブックセンターを訪問。他、全国の様々な書店が紹介される。

・多和田葉子とリービ英雄、吉浦萬壱と光浦康子と言う組み合わせでの対談が掲載される。

・若松英輔の連載「霧の彼方――須賀敦子」が今号で最終回を迎えた。

・他、連載に谷崎由衣、青山七恵、武田砂鉄など。

 

以上、2019年1月発売の4誌について、概観を紹介した。読書の一助になれば幸いである。