超短編小説「猫角家の人々」その18

moonkaguya

エセー

892文字

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地球之犯罪者滅亡派
弗滅亡派
亜米利加滅亡派

超短編小説「猫角家の人々」その18
FXに耽溺すると、24時間、FX市場に拘束されることになる。市場動向を捕捉して、売り買いを入れる。一時たりとも油断はできない。寝ないで、市場と対峙しなければならない。そうしなければ、金儲けの出来る瞬間を逃してしまうかもしれないのだ。転寝している間に300万円の損失をこしらえてしまうかもしれないのだ。

だが、まともな人間には、寝ないでFX取引に没頭するには、限界がある。まともな人間には….である。まともでない人間は、そんな場合、薬物に頼る。覚醒剤を打てば、場合によっては、一週間寝なくてもなんともない。特に「打ち始め」の頃は、よく、薬が効く。長期間打っていると、弊害、副作用が出てきて人間から、下等動物に代わってしまうが。

覚醒剤が欲しい。どこから手に入れるか?自動車保険詐欺でさんざん世話になった名古屋のホース・エイジ社の中華麺社長(仮名)の顔を思い浮かべる。以前に「シャブ」の話を彼から聞いたことがある。電話をしてみると、しばらく無言が続いた後、「ヤウマトで送ります。」と一言言って電話が切れた。覚醒剤の送付には、事故率の低いヤウマト運輸が使われるのだ。翌日午後、中華麺社長から、宅急便が届く。中を開けてみると、厳重に包装されたポリエチレンの子袋に入った、少量の白い結晶の粉が出てきた。これを水溶液に溶かして、注射するらしい。宅急便の中に、注射器まで入っていたのには、ちょっと、感動した。「中華麺さん、いつも、よく気が付くわ。」だが、請求書も同封されていることに気が付く。「こんな小袋で2万円?ちょっとー、このくらい、無償提供してくれてもいいのに。」自分勝手な蜜子である。

試しに二の腕に溶液をぶち込んでみる。シャブシャブっという感覚が全身を走る。経験したことの無い快感だ。暫くすると、自分が何でもできるスーパーウーマンになった気分がする。何にも怖くない。眠気も吹っ飛んだ。プロ野球の喜代原という選手は、シャブを打って3試合連続のホームランを打ったという。「きっと、私も、シャブのおかげでFXで大当たりするわ!」しないしない。大損ならするが。(続く)

2023年10月2日公開

© 2023 moonkaguya

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