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紙上大兄皇子の死(ちっさめろん解説に代えて)

ちっさめろん(第12話)

高橋文樹

タグ: #評論

エセー

1,828文字

紙上大兄皇子の死

高橋文樹

『ちっさめろん』は破滅派同人紙上大兄皇子かみのうえのおおえのおうじの遺作である。長らく破滅派の中心的な執筆陣に名を連ねていた彼は二〇一五年、霊的な存在としてなんとか命脈を保っていたが、ついに死んだ。本作は彼の遺稿である。ファイルは私があずかっていた初期原稿のフォルダの中にWordファイルとして保存されていた。

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変更日は2006年10月27日とある

約十年を経て発表されることになったこの作品だが、いま読み返してみても新鮮な驚きをもたらしてくれる。SFという破滅派に乏しいジャンルにおいて、皇子は卓抜な才能を発揮した。

しかしながら、発表までに長い時間を要してしまったがために、少し現実と矛盾することになる。そこで、私は故人の名誉のために、作中で現実と齟齬をきたしてしまった点、ならびに現実と不思議な符号を見せた点について解説したい。

 

© 2015 高橋文樹 ( 2015年11月23日公開

作品集『ちっさめろん』最終話 (全12話)

ちっさめろん

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