饂飩

小林TKG

小説

2,347文字

Xで赤木青緑さんの話のコメント欄に名前を出してもらいましたので。

今年、二千二十四年の六月頃は本当に体調が悪くてですね。古賀コン5の頃です。まあ病院に行ったりとか、そういう事はしてないので、気のものだとか気のせいだとか、病院行ってないのに体調不良とか言ってんじゃねえ。って思われるかもしれないんですけど。

でも、体調は悪かったんです。気のせいとか気のものとか酢のものとか言われても、体調は悪かったんで。毎日グルグルしてたんです。視界が。グルグルしてたしぐずぐずしてました。体内が。グツグツもしてました。グルグルしてぐずぐずしてグツグツしてたんです。煮込まれているんだか煮立ってるんだか鍋の中で食材がいい感じで回って全体に効率よく熱が加わってるんだか。煮物だったら美味しかったかも。あと饂飩とか。

あ、饂飩って言ったら、その頃、本当に精神的にも危なかったのかな。今考えると。不安が凄い来たんですよね。私の前とか、隣とか、中とかに。定期的に。周回的に。大きな不安がやってきて。それで不安で、不安に駆られてdショッピングとかAmazonとか楽天で饂飩を買ってました。30玉とか入ってるやつ。それを三つのサイトでそれぞれ買ってました。30玉。それぞれ。で、茹でて食べてました。絶対に一玉でお腹いっぱいになるのに、なんでか三玉茹でたりして。それで死ぬって思いながら食べてました。

とにかく体調悪かったんで、古賀コンの5が終わってから一旦、東北、地元に帰省したんです。それで保養地に行って保養したんです。ばあちゃんちに。母の母の家。今はもうみんな死んだり引っ越したりしちゃって空き家になってるんですけども。母の兄が死んだ時にそこが空き家になって、それをどうするかって問題もあったりして、住む人いないしほごすかってなって。で、土地の持ち主、現在の状態を調べてもらったら敷地内のここはこの人の土地、ここはあの人の土地。みたいになってたそうで。斑。マーブル模様みたいになってたそうで。それを解決させるためには時間もお金も必要になって、あと、余計ないざこざが発生しそうってなって。だから、結局未だに残ってるんです。田舎の平屋。ぼろい田舎の平屋の家です。見渡す限り田んぼに囲まれてる。そういう土地です。死んだ父親がサロベツ原野って失礼な綽名を付けてました。で、行く度にそう言ってました。母親がピキピキしてました。(#^ω^)ピキピキ。でも襟裳岬みたいなもんです。唄であるでしょ。襟裳の春は何もないって。でもあるんです。家とか。何もない事は無い。そういう感じです。そういう感じの綽名。そういう感じの土地。冬になると全部白くなる。

そこにちょっと保養に行ったんです。

季節は古賀コン5が終わってすぐだったんで、初夏でした。私はその頃、パンパンの状態で。グルグルでぐずぐずでグツグツで。その時に浅田次郎御大の本を読んで号泣して、あと雑司ヶ谷霊園の良さに心を打たれて。それで保養に行くって決めたんですけども。

ばあちゃんちの家の周りは見渡す限り田んぼが茂ってました。稲が。まだ濃緑とは言えない。でも、もう黄緑でもない。それが見渡す限り茂っていて。風に揺れていて。空も青くて。ブルーで。雲も、まだ入道雲じゃないけども、モクモクしてました。モクモク。

まだ初夏でしたが、そんで東北でしたが、でも盆地なんですよね。そこって。だから暑かったんですよね。ばあちゃんちには扇風機もクーラーも無かったですし。それで水撒いたりしてたんです。打ち水。そうして水撒きながら、田んぼの方に行ったら、納屋。トラクター入れてた納屋があるんですけども。ばあちゃんちに来る時はいつも、そこに車を停めてたんですけども。そこに、子供がいて。

知らない子供。男の子。小学校ニ年か三年くらいの。近くの家の子供だと思うんですけども。まあ周り見渡す限り田んぼって言っても、一時間くらい歩いたところに御所野イオンとかあったからね。で、御所野イオンが出来た時に、周りに住宅地とか出来たからね。

ただまあ、私にはそんな気安い感じはないので。人見知りの部類の方だから。だから、何してんのかなって思ったんですけども。声はかけませんでした。今どき、何が撮影されて、録画されて、SNSにあげられて、炎上してボコボコに叩かれるかわかりませんし。

子供は一心に田んぼの方を見てました。手望遠鏡で。手で丸を作るので。手望遠鏡で。

私も見ました。子供の見ている方。でも目が悪いんですよね。だからよく見えません。ただなんとなく白いなにか。白い何かが田んぼの中にいたんです。それはわかりました。

白い。饂飩かな。饂飩みたいって思って。

そしたら、そのあと、

「ぎゃああああああああああ」って叫び声が聞こえて。驚いて。見たら子供、その子供が叫んでて。おかしくなっていて。まるで、

そのまま走ってどっかに行っちゃって。

驚きましたよ。そら。何だよ。こわって。

でも夜、なんとなく、思ったって言うか。あれ、あの田んぼの中あれ。あの白い。饂飩みたいなあれ。あれって見たら気が狂うっていう都市伝説のあれだったのかなって。

あれ。あの四文字の。オノマトペっぽい。

グルグルとかぐずぐずとかグツグツとかピキピキとかパンパンとかモクモクみたいな。

ボコボコみたいな。そう、ふと、思って。

あの子供は狂ったのかな。あれ見たから。

ただ私も見たんです。饂飩かなって思ったけど。でも見たんですよ。なのにどうして私は狂ってないんだって不思議になったんですけど。でも考えてみたら古賀コン5の話に、ある方から、小説を書いてる人は書いてない人よりも狂いやすい。何倍も。何十倍も。

っていう感想をいただいてましたのでね。

ああ、なるほどなあって。それかあって。ふふふふってね。思ったんですよね。私は。

そういう風に、思ったんですよねねねね。

2024年11月3日公開

© 2024 小林TKG

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