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街灯が消えていく

高橋文樹

306文字

僕の町の街灯はLEDになった

それまでの夜道は恐ろしげだった

この明るさは未来に僕の娘を守るだろう

 

ある夜に約束を果たした僕は

酔いながら暗い夜道を歩いた

自転車を押し

コンビニで買った

見たこともない缶ビールを携えて

ときおりポケモンの画面を眺めつつ

 

もっとも暗かった道にさしかかったころ

遠くから少しずつ街灯が消えていった

夜も更け その役割を終えようとしているのだ

LEDはまるでその命を終えるかのように

尾を引いて消滅する

遠くから少しずつ命が消えていく

 

この街灯もまた

無限ではない

もしかしたら この明かりは

未来の僕の娘を守ってくれないかもしれない

 

暗闇と見知らぬビールの酔いが

僕を包んでいる

© 2017 高橋文樹 ( 2017年1月24日公開

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